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最終章「終局」

 

『みなさん聞こえますか?』

『はい、今回の犯人について調べがつきました。彼女の名はアリスティア・ラインレイク。空間系の才能を所持しています。彼女の才能は強大でその幼い体では抑え込めず不安定。さらには、両親は彼女を忌み嫌い、去っていったようです。』

「酷い話ね、自分の子を嫌い挙げ句の果てに捨てるなんて…」

『彼女が何故この事件を起こしたかは不明ですが、彼女の過去となんかしら関係があると見ています』

「わかりましたわ、あとはこちらで調査しますわ。さてエルバさん、もうすぐで階段も終わりですわよ」

 階段を登り切ると、そこには女の子が好きそうな装飾が施された大きな扉があった。「…開かないわね、この先はどうなってるのかしら?」

「少し待ってくださいませ…。わたくしの『耳』はこの先にアリスさんの声を検知してますわ」

「了解だわ、ならここはあたしにお任せなさい♡どんな扉も、あたしが殴れば粉々よ!」

ドゴォン!と音と共に、巨大な扉に大穴が空き、音を立てて崩れてゆく。

「さぁいくわよ!」

「いよいよですわね…」

 

「何これ…ぜんっぜん減らないんだけど。どんだけいるの…? もぉ流石にめんどくさくなってきた。全力を出して一瞬でカタつける♪」

 するとリリーサの眼が赤く光る。

「きひ♪」

 リリーサが動いた瞬間、リリーサの姿が消える!とてつもない速度で動くリリーサは次々と敵を蹴散らしていく。

「きひひひ!これで…終わりっ‼︎」

 先ほどまで大量にいた敵は一掃されており、リリーサのみ残っていた。

「んー、楽しかった! …さてと、帰ろっかな〜」

「流石だな、リリーサ君」

「あれ?ウィンディじゃんどったの?」

「戦闘で足を負傷していてね、休んでいたところさ」

「なるほどねぇ、それじゃあ私帰るから〜」

「待ってくれリリーサ君!まだ終わってはいない」

「え?あとはあのアリスって子を捕まえるだけでしょ?私居なくてもよくない?」

いや、僕の予想では、まだ君の力が必要になる可能性があると思うんだ。それに、あの子を止めない限りはここから出られないだろうからね」

「ふーん、なるほどね。いいよ♪そうゆうことなら残っててあげなくもないよ。でも才能を全力で使ったからちょっと疲れちゃっててねぇ…」

 ちらっと持っているナイフを見るリリーサ。そのナイフは少しだが傷ができていた。

「はぁ…ならそのナイフの修繕費を僕が払おう。これでどうかな?」

「…弾薬」

「え?」

「さっき使った弾薬代も♪」

「分かった…」

「きひひ♪」

「まったく…扱いやすいんだかにくいんだか…」

 

「さぁアリスちゃん!追い詰めたわよ観念なさい!」

「あははっ!楽しい‼︎楽しいわ‼︎ねぇ、もっと遊ぼ?」

「冗談じゃないですわ!わたくしたちは全く楽しくないですわ!」

「わがままだなぁ…じゃあこうゆうのはどう?」

アリスが腕を掲げると、上から巨大な化け物が現れた。

「嘘…ですわよね、次はこれが相手ですの⁉︎」

「流石にやばそうね。でも、やってやろうじゃない!」

「あははっ!この子といーっぱい遊んで楽しんでね!」

「ふむ。随分と楽しそうだね。僕達も混ざらせてもらおうか」

「ウィンディの言う通り面白そうなの始まってるじゃん!」

「あら、やっと来たわね」

「傷は大丈夫ですの?」

「なんとかね。それに、これを倒さないとどのみち帰れなさそうだからね」

「お話は終わったかなー?じゃあ始めるよ!」

 

「状況はあまりよくないみたいだ。ここから何かできることは…そういえばウィリアムさん帰ってくるのが遅いな。…まさか⁉︎」

 

「きゃああ!くっ!流石にキツいですわ…」

「食らいなさいっ!ふんっ‼︎」

「ぐぎゃぁあああああああああああああ」

「良い一手だエルバ君。ここで追撃を…」

 ウィンデイは銃の引き金を引くが… カチッカチッ

「しまった⁉︎弾切れか。くっ、リリーサ君!」

「きひ♪」

『―みなさん聞こえますか⁉︎』

「アインさん!聞こえますわよ」

『みなさん耐えてください!もう少しの辛抱です!』

「もう少し?どう言うことかしら」

「なるほど、なんとなくだが理解したよ」

「ああ、そう言う意味ですわね」

「きひひ♪遅すぎだぞ♪」

「ちょっと?どう言うことよ?」

コツン…コツン…と後ろから近づいてくる足音。

「へぇ…これは聞いてたのと違うねぇ」

「ウィリアムさん⁉︎」

「きひひ♪カルミナって結構鈍いよね!」

「あれ?誰か来た?一緒に遊んでくれる人増えた!ねぇ、あなたもアリスと遊びましょ!」

 アリスの声とともに化け物はウィリアムに向かい突進する。

「悪いな嬢ちゃん。おっさんは子供の相手は苦手なんだ」

 ウィリアムは銃を構え引き金を引く…刹那、化け物が声をあげ消滅していく。

「大当たりだ」

「ぐぎゃぁああああああ‼︎」

「え?なんで、なんで?どうしたの⁉︎」

「流石ですわ」

「奇跡。確率で際限のない豪運をもたらすウィリアムさんの才能…」

「確率って言っても外した所を見たことないから実の所どうなのかしらね」

「うそ?うそ?なんで?なんで?」

「さぁーてお嬢ちゃん、観念しな」

「……やだ…また一人になりたくない…もっとみんなと遊びたい…やだぁーーーー‼︎」

 その瞬間、突如として空間にひびが割れはじめる!

「なんですの⁉︎」

「才能の暴走…まずい‼︎みんな、はなく逃げよう!」

「暴走⁉︎まずいですわ!でもどうやって逃げるんですの⁉︎」

「そうじゃないでしょ!」

「⁉︎」

「最優先はあの子をどうやって助けるかでしょ!」

『そうですみなさん、今あの子を止めなければ脱出はできません』

「でも、行ったどうしたら…」

『…アリスを説得、慰めるしかありません』

「慰めるなんてこと、俺はできないからな」

『な⁉︎いつもそうですね!』

「なら、あたしに任せてちょうだい」

「カルミナ?いけんの?やれんの?」

「ギル君からの話を聞いた時からあの子を助けてあげたいって決めてたのよ!」

「うぅぅぅ」

「アリスちゃん…」

「いや…みんなアリスから離れていく…パパもママも…」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ…

「エルバ君!もう崩壊が!」

「なんで…ねぇなんで?」

「大丈夫!大丈夫よ!あたしが一緒にいてあげるから!」

「ほん…と…?アリスのこと裏切らない?」

「ええ!もちろんよ!」

「アリスの家族になってくれるの?」

「ええ!あたしはあなたの家族よ!」

「えへへ。嬉しい。ありがと、ずっと…一緒だよ…」

アリスは幸せそうに笑顔を浮かべながらすやすやと眠りについた。次第にこの空間は静かに消え、あの空間にいた人達は全て元いた場所に戻り、再びロンドンに平穏が来たのであった…

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